2024年の夏、愛犬のムックと一緒に向かったのは、標高2,578mを誇る日光白根山。
関東以北では最も高い山です。

今回は群馬県側の丸沼高原からロープウェイに乗り、標高約2,000mの地点から山頂を目指すルートを選びました。
何よりドキドキだったのが、初めての「犬連れロープウェイ」。
体重40kgのムッちゃんと無事に山頂まで行けるのか、今思い出してもなかなか濃密で、忘れられない一日です。

ロープウェイで、一気に標高2,000mの世界へ
朝早くに家を出発し、日光市側から金精トンネルを抜け、丸沼高原の駐車場へ。
ここからロープウェイを使えば、登山口までの時間と体力をぐっと節約できるのが大きな魅力です。

ゴンドラからの景色を眺めながら、約15分間の爽やかな空中散歩を楽しみました。
ペット同伴で乗車できるのもありがたいところ。
ペット専用のゴンドラやケージが用意されていましたが、大きなムッちゃんはケージに入らないため、そのまま乗せてもらうことに。
足元に尿取りシートを敷いてくださったり、他のお客様と一緒にならないよう配慮していただけたりと、細やかな優しさに感謝の気持ちでいっぱいになりました。
初めての乗車で私たちが少し緊張する一方、当のムッちゃんはというと……
外の絶景には見向きもせず、ソフトクリームに夢中。

どこへ行ってもマイペースな姿に、ほっこりさせられます。
緑豊かな木々を抜けて、いざ登山開始
山頂駅に到着し、9時40分にいよいよ出発。
まずは二荒山神社へ立ち寄り、「今日も無事に帰ってこられますように」と手を合わせました。

ゲートをくぐって一歩足を踏み入れると、ひんやりとした涼しい空気に包まれます。
木漏れ日の中を歩いていると、下界の暑さが嘘のよう。
途中ですれ違った年配のご夫婦が「自分たちには少し厳しそうだから、ここで引き返します」とおっしゃっていました。
せっかく来たからと無理をせず、状況に合わせて引き返す勇気。

山を楽しむうえで本当に大切なことですよね。
でも、この時はまだ、後で自分たちも同じような判断を迫られるなんて、まったく思っていませんでした。
森林限界を越えて広がる、大パノラマ
ムッちゃんの足取りに合わせてゆっくり歩くこと約2時間。
ふと景色が開け、森林限界に到達しました。

それまで頭上を覆っていた木々が消え、目の前に大きな空と雄大な山並みが広がります。
何度経験しても、この瞬間の解放感はたまりません。
奥白根神社にもご挨拶を済ませ、山頂へ向けてもうひと頑張り。

ここからの登りは細かな石や砂が多いザレ場で、足元が滑りやすく一歩一歩が慎重になります。
しっかりした登山靴で足元を固めて進みたいところです。
|
|
そんな歩きにくい道も、ムッちゃんは四つ足を上手に使ってスイスイ。

「やっぱり四つ足は強いなぁ」なんて、少し羨ましく思えてきます。
足元には可愛らしい高山植物も咲いていて、見つけるたびに足が止まりました。
「これ何の花だろう?」と写真を撮っては遅れ……なかなか前へ進みません。

そんな賑やかな寄り道を経て、12時半頃に無事山頂へたどり着きました。
360度の大パノラマと、思いがけない出会い
日光白根山の山頂付近はゴツゴツとした岩場になっていて、足場も狭く不安定です。

安全を最優先にして、ムッちゃんには少し下の平らな場所で待っていてもらい、夫と交代で山頂に立ちました。
この日の山頂は24℃と、夏とは思えないほど快適。

ぐるりと周囲の山々を見渡す大パノラマに、ここまでの疲れも一気に吹き飛びます。

場所を移してランチタイムにしていると、目の前に立派な角をたずさえた雄鹿が佇んでいました。
まるで山の主と目が合ったかのような緊張感に、思わず息をのむ瞬間。
美しい立ち姿でじっとこちらを見つめる姿に、すっかり見とれてしまいました。

雄鹿もムッちゃんが気になる様子で見つめ返してきますが、当のムッちゃんはシカよりもリュックの中のおやつのことで頭がいっぱい。
やっぱりどこまでも食いしん坊です。

下山で思わぬ展開に……40kgを担ぐ夫
名残惜しさを抱きつつ、帰りは弥陀ヶ池方面へ向けて下山をスタート。
最初は急な岩場ですが、ほんの少し踏ん張ればすぐに歩きやすい道に出ます。
距離としては短い区間なのですが、ここでまさかの出来事が起こりました。

さっきまで張り切っていたムッちゃんが、ゴツゴツした岩場を前に怖がって、ぴたっと立ち止まってしまったのです。
「ここからは絶対に行きません」というモード。

困り果てた結果、ここで夫の出番となりました。
40kgあるムッちゃんを「抱っこ」というより「担ぐ」ようなスタイルで持ち上げます。
可愛い抱っこではなく、もはや大荷物を運ぶ状態。
大変そうでしたが、夫の頑張りのおかげで無事に難所を抜けることができました。

前半で出会ったご夫婦の「引き返す判断」が頭をよぎり、愛犬を連れた登山の難しさを改めて実感しました。
特に大型犬の場合は、もし途中で歩けなくなったらどうするのか。
万が一のことまで考えたうえで、無理のないルートを選ぶことが大切なのだと、身をもって学んだ出来事でした。

不安がある場合は無理をせず、同じ道を戻るほうが安心かもしれません。
苦労した分、途中から見えた五色沼や弥陀ヶ池の景色は胸に迫る美しさでした。

登山をしなくても楽しめる丸沼高原
私たちは、なんとか山頂駅の近くまで戻ってきたという心境でしたが、ムッちゃんは「まだ帰りたくない!」とばかりに駄々をこねる始末。

丸沼高原は、山頂を目指さなくても十分に自然を満喫できる魅力的な場所です。
山頂駅の周りには、一周約45分の自然散策コースや約2時間の史跡散策コースが整えられていて、涼しい空気の中で気軽にハイキングが楽しめます。

さらに、のんびり過ごせる「天空の足湯」などもあり、ロープウェイに乗って標高2,000mの風を感じにくるだけでも素敵な時間を過ごせそうです。
大変だったからこそ、かけがえのない思い出に
犬連れ登山は準備も多く、体調や足元への目配りなど気を遣う場面が尽きません。
それでも、ムッちゃんと一緒に見上げた空や美しい景色は、何物にも代えがたい特別な宝物になりました。
山頂からの素晴らしい景色。

足元にひっそり咲いていた高山植物。
凛とした立ち姿で現れた野生の雄鹿。
そして、40kgのムッちゃんを一生懸命担いでくれた夫の姿。
いろんな出来事がぎゅっと詰まった、忘れられない一日となりました。
下界の暑さに触れ、「また涼しくなったら来たいね」と話しながら帰路へ。
今度はロープウェイを使わずに登ってみたいな。
大変だったことも含めて、時間とともに温かい思い出に変わっていくのが山の不思議なところですね。

お出かけ前のワンポイント情報
※この記事は2024年の登山記録をもとに、2026年9月現在の施設情報を確認して追記しています。料金や運行時間などは変更になる場合がありますので、お出かけ前に丸沼高原公式サイトで最新情報をご確認ください。
登山の装備選びに
ザレ場や下り道など、足元が不安定な場所では、トレッキングポールがあると歩行時の支えになります。
|
|


コメント