母が股関節の手術後に胆のう破裂で急変し、三次救急のICUへ……という大変な出来事を乗り越え、無事に退院の日が決まりました。
そんな母ですが、今回の退院の三日前に、慌てて病室で介護保険の「認定調査」を受けました。
今回の経験を通して、やっぱり「退院間際の介護認定調査」は、あまりお勧めできないなと思いました。
もちろん、病状が安定しない時期は仕方がない部分もあります。
でも、状態が落ち着いてきたら、できるだけすみやかに調査を受けておくことが、後々の行き違いや慌ただしさを防ぐうえでも大切だと感じています。

退院直前の介護認定調査をお勧めしない理由
なぜ退院直前の介護認定調査をお勧めできないのか?
退院直前に介護認定調査を受けることをおすすめできない一番の理由は、焦りと不安を抱えたまま準備不足で退院日を迎えてしまうからです。
退院後は、ご本人の状態に合わせて介護ベッドや手すりなどの福祉用具をあらかじめ設置しておかなければならないケースが多くあります。
実はよくあるのが、「落ち着くまで調査は待ちましょう」と看護師さんから助言されるケースです。
私の母の時もまさにそうでした。
微熱が出たり引いたりしていたため、看護師さんからは、もう少し様子を見てからにしましょうと言われていました。
もちろん、体調が安定してからという考え方もよく分かります。
でも、母の場合は一般病棟へ移ってからある程度時間も経っていましたし、微熱があるとはいえ、退院後の生活を考えれば、そろそろ調査を進めてもらえたらなと思っていました。
そんなふうに思っていた矢先、主治医の先生から突然、「来週、退院できそうですね」と言われたのです。
「えっ、来週ですか?」思わず、そんな気持ちになりました。
母の場合は、私自身がこれまでの経験からADL(日常生活動作)の状態をある程度予測していて、自宅に戻った場合の生活についてもイメージできていたので、慌てずに済みました。
でも、もし何も分からないご家族だったらどうでしょう。
「家ではどうやって生活するの?」「介護サービスは間に合うの?」と、一気に慌てて不安になってしまうことも少なくありません。
だからこそ、急性期を脱したら早めに介護認定の調査を進めていくことは大切だと思っています。
こうした行き違いを防ぐためには、主治医に直接「いつ頃の退院を考えていますか?」と確認しておくことが一番です。
認定前の「暫定利用」に潜む注意点
介護保険では、認定結果が出る前でも、申請後に暫定ケアプランを作成してサービスを利用できる場合があります。
ただし、認定結果が確定していない段階で福祉用具を借りる場合には注意が必要です。
特に気をつけたいのが「介護用ベッド(特殊寝台)」です。
介護用ベッドは、原則として要介護2以上でなければ介護保険を使ってレンタルすることができません。
要支援1・2や要介護1の方については、介護保険でのレンタルが対象外となっています(ただし、身体の状態によっては例外的に給付の対象となる場合もあります)。
「自力で歩けるか、歩けないか」という瀬戸際の状態の方は、特に注意が必要です。
もし退院直前に大慌てで調査を受け、とりあえずベッドを搬入したものの、届いた認定結果が予想していた区分と違っていた場合、介護保険が適用されず、自己負担での対応が必要になることも。
退院してひと安心したところに、思っていたより費用がかかってしまった……なんて事態は、できれば避けたいですよね。
認定前に福祉用具を準備する場合は、ケアマネジャーさんに、認定結果がまだ出ていないことを伝えて、利用方法や費用について確認しておくと安心です。
初めての介護相談はどこにする?「地域包括支援センター」を活用しよう
「早めに相談した方がいいと言われても、初めての介護でどこに行けばいいか分からない……」
そう思う方も多いのではないでしょうか。
そんな時にまず頼りにしてほしいのが、各市区町村に設置されている「地域包括支援センター」です。
地域包括支援センターとは、高齢者やそのご家族を支えるための「総合相談窓口」です。
保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門職が常駐しており、以下のようなサポートを行っています。
・介護保険の申請手続きの受付や代行
・病院の医療ソーシャルワーカー等と連携した、退院後の生活や介護に関する総合的な相談
・地域のケアマネジャー(居宅介護支援事業所)の紹介や調整
・介護予防や保健・福祉サービスの案内
お住まいの地域(市区町村のHPなど)で検索すると、担当の地域包括支援センターがすぐに見つかります。
「親が入院してこれからのことが不安」
「親が退院することになったけれど、どうしたらいいか分からない」
と電話一本入れるだけでも、丁寧に対応してもらえますよ。
早めにケアマネジャーとつながる安心感
地域包括支援センターや病院のソーシャルワーカーさんを通じて早めにケアマネジャーさんとつながっておくと、退院に向けた準備がぐっとスムーズになります。
例えば、要介護2に届かず介護保険でベッドが借りられない場合でも、事業者によっては自費でレンタルできる場合があります。
介護保険が使えるかどうかだけでなく、状態や家庭の状況に合わせて、ほかの方法も含めて一緒に考えてもらえます。
早い段階からケアマネジャーさんに状況を把握してもらうことで、以下のような準備が安心して進められます。
・退院後の生活に必要なサービスや用具の見極め
・認定結果の予測に基づいた安全な環境調整
・もしもの時の自費レンタルプランなどの相談
・退院日にあわせたスムーズな福祉用具の設置
我が家の場合も、ケアマネジャーさんが股関節の手術をした病院としっかり連携をとってくださり、母の体を一番よく知るリハビリチームが退院後すぐに訪問リハビリに入ってくれることになりました。
焦らず、でも見通しを持って介護の準備を
退院前後はご家族も色んな手続きや準備でバタバタしがちですが、相談できる窓口や仕組みを少し知っておくだけで、心配を減らすことができます。
「病院の見立て」だけに頼らず、ぜひゆとりを持ったスケジュールで地域包括支援センターやケアマネジャーさんに相談を進めてみてくださいね。
みなさまとご家族の暮らしが、少しでも穏やかで安心できるものになりますように。
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