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母の転倒で介護保険を申請|手すりの住宅改修を考えたとき、現役ケアマネの私がしたこと

母が転倒してから、まもなく一週間になります。

母は股関節の痛みや変形性膝関節症を抱えながらも、なんとか自立して暮らしています。

それでも「今の状態なら、いちばん軽い要支援認定くらいはもらえるだろう」と見込んで、年末ぎりぎりに市役所へ駆け込み、介護保険の申請をしました。

認定が下りたら、玄関や掃き出し窓、勝手口に手すりを付けてあげたいと思ったからです。

実は転倒する前から、「そろそろ手すりが必要かな」とは感じていました。

私は在宅ケアマネジャーとして、日々、高齢者の暮らしや住まいのご相談を受けています。

そんな私が、今度は自分の母のために手すりを考えることになるとは。

仕事とはまた違う、家族ならではの難しさを早くも感じています。

今までの暮らしを守りながら、安全な動線を考える

お風呂とトイレにはすでに手すりがあり、母は上手に使っています。

そこで今回は、必要な場所を最小限に絞って、今の生活習慣をなるべく変えない形にしようと考えました。

高齢者は、使い慣れた環境が急に変わると、かえって戸惑いや負担のもとになってしまいますから。

「危ないから、これからはここから出入りしないでね」と言えば簡単ですが、母は素直に聞くタイプではありません(笑)。

言ったところで、きっとこれまで通りに動くでしょう。

だからこそ、母の普段の動きをよく見て、暮らしを変えずに安全に動ける環境を探ることにしました。

これは住環境を整えるときの基本でもあります。

生活の流れを大きく変えてしまうと、せっかく手すりを付けても使われなかったり、段差をなくしても結局いつもの場所を通っていたり、ということが起こります。

ご本人が実際にどう暮らしているのかを、まず見せてもらうことから始めたいですね。

将来を見据えて ~パーキンソン病と住宅改修~

そんな折、兄が「玄関前はスロープにしたほうがいいんじゃないか」と言い出しました。

正直、「いきなりスロープ? まだ自分の足で歩けるのに」と少し驚きました。

でも、専門職ではない家族が先々を思えば、「段差があるならスロープなら安心」と考えるのは、ごく自然なことかもしれません。

ただ、母にはパーキンソン病があり、ドパコールを内服しています。

パーキンソン病では、歩き出しに足が前へ出にくくなる「すくみ足」や、重心が前に傾いて止まりにくくなる「突進現象」がみられることがあります。

母は小刻み歩行が若干みられるよになってきた為、傾斜のあるスロープはむしろバランスを崩しやすく、転倒のリスクを高めてしまうのではと感じていました。

このように、住宅改修は「ただ段差をなくせば安全」という単純なものではなく、病気の特徴や歩き方、これからの変化まで見据えて考える必要があります。

今は自立して歩けていても、パーキンソン病などの進行性の疾患がある場合は、症状に波があったりもするからです。

とはいえ、兄が母のことを気にかけてくれたのは、本当にありがたいことでした。

介護を一人で抱え込まず、こうして他の家族にも参加してもらうことは、これからも長く介護を続けていくうえでの大切な視点です。

「それも一案だね。ただ、スロープは費用もかかるから、歩くのが難しくなってきた段階で考えても遅くないんじゃない?」と兄には伝えて、その場は穏やかに収めました(笑)。

認定調査に向けて

申請を済ませた後、気がかりだったのは、母が介護保険を使うことに納得してくれるかどうかでした。

高齢の親に「介護サービスを使おう」と切り出すと、抵抗されることも少なくありません。

でも、「目的は転倒予防だからね」と伝えると、意外なほどすんなり受け入れてくれました。

母自身も、転ぶことへの怖さを心のどこかで感じていたのかもしれません。

年明け早々に、認定調査が行われます。

調査では身体機能だけでなく、日常生活の様子や精神面、介助の必要性なども確認されます。

普段どんな場面で困っているのかを、あらかじめ書き出しておくと、状況を伝えやすいと思います。

今回は、兄夫婦が立ち会ってくれるというので、お任せすることにしました。

私が立ち会ったほうが、調査員さんへの説明などはスムーズかもしれませんが、あえて頼ることに意味があると思っています。

とはいえ、審査に必要な意見書を書いてくださる神経内科の主治医には、事前に私のほうから母の状況を伝えておきました。

たくさんのご家族を支えてきた私でも、いざ自分の親のこととなると、客観的な視点でみることが難しかったりします。

だからこそ、家族それぞれができる形で関わりながら、必要なときは専門職の力も借りていく。

母を支えるなかで、人とのつながりのありがたさを改め感じ、これからも大切にしていきたいと思っています。

今までの暮らしを支える手すりとは

介護保険の住宅改修には、手すりの取り付けや段差の解消などに対して、支給限度基準額(20万円)が設けられています。

原則として、工事の前に申請を行い、「住宅改修が必要な理由書」を提出します。

ただ、「20万円まで使えるから、好きなところに付けよう」というものではありません。

「ここが危ないから手すりを付ける」という考え方だけでは足りないことも多いと、現場で感じてきました。

たとえば、こんなことがあります。

・昼間は問題なく歩ける廊下でも、夜中に寝ぼけてトイレへ行くときは、ふらついてしまう。

・洗濯物を干すときは両手がふさがっていて、手すりをつかめない。

どれも、「危なそうな場所」を見ているだけでは気づけないことです。

その方が、一日のなかでいつ、どこを、どんなふうに動いているのか。

移動そのものだけでなく、「立ち上がる」「向きを変える」「段差をまたぐ」「靴を履く」といった動作にも目を向けていきます。

手すりは一本で劇的に動きやすくなることもありますが、身体の状態や環境に合っていなければ、役に立ちません。

ご本人らしい暮らしに合わせて考えるには、やはり専門職の視点が助けになります。

住宅改修の相談はどこへ?

「手すりを付けたいけれど、何から始めればいいの?」というときは、お住まいの地域の「地域包括支援センター」や、市区町村の介護保険窓口に相談してみてください。

地域包括支援センターは、高齢者の暮らしや介護について幅広く相談できる、地域の総合窓口です。

介護保険の使い方はもちろん、今の身体の状態でどんな支援が受けられるのかも教えてくれます。

「手すりだけ付けたい」

ただそれだけでも、遠慮なく声をかけてみてくださいね。

ご本人の体の状態や暮らしぶりに合わせて、ケアマネジャーなどの専門職へつないでくれます。

おわりに

今回の母の転倒は、決してうれしい出来事ではありませんでした。

それでも、「これからも自宅で安全に暮らし続けるには、何が必要だろう」と考えるきっかけになりました。

介護保険は「できないことを補いながら、その人の持つ力を活かして、安全に自宅での暮らしを続けられるようにする」ものです。

これからも、母らしい毎日を守るために、家族みんなで知恵を出し合いながら、頼れるところは上手に頼っていきたいと思います。

住宅改修の流れや手続きについては、こちらの記事で詳しく書いています。

よかったら読んでみてくださいね。

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