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【栃木県】岩船山・高勝寺へ|秋空の下、愛犬と歩いた関東の霊山

抜けるような秋晴れの空に誘われて、愛犬たちを連れて栃木県の岩船山へ出かけました。

今回訪れたのは、山の上に建つ高勝寺。

以前から気になっていた場所でしたが、実際に歩いてみると、想像以上に独特の空気を感じる広いお寺でした。

仁王門をくぐって

車で山上へ向かう道は、思っていたより急な坂道。

路面にも小さな凹凸があるので、ゆっくりハンドルを切りながら上っていきます。

しばらくすると、目の前に大きな仁王門が現れました。

寛保2年(1742年)に建立された仁王門は、規模の大きさでは県内随一とされる栃木県指定文化財です。

実際に目の前にすると、写真で見るよりずっと迫力があります。

これは、山門(仁王門)の改修前に使われていた「花瓦(鬼瓦・懸魚などの屋根飾り)」です。

​長い年月、雨風にさらされてきた瓦の質感は、古びてはいても、当時の職人さんの確かな技術を感じさせ、思わずじっと見入ってしまいました。

圧倒的な存在感の仁王像に見下ろされると、自然と背筋が伸びるような感覚になりますね。

この門をくぐったところから、なんとなく他とは違う凛とした鋭い空気になったように感じました。

一緒に来たムックとテンも、いつもの散歩とは少し違う雰囲気を感じていたのかな。​

どこか少し落ち着かない様子でした。

まずは、階段の脇に鎮座する「金仏(かなぼとけ)様」に手を合わせ、それから境内へと足を進めます。

本堂で感じた、長い時間の重なり

階段を上ると、正面に立派な本堂がありました。

現在の本堂は、大正15年(1926年)の火災で旧本堂が焼失したあと、昭和2年(1927年)に建立されたもの。

ご本尊は「生身の地蔵尊」と呼ばれる秘仏。

普段は見ることができず、秋の彼岸供養の時にご開帳されるそうです。

この日はそのお姿を見ることはできませんでした。

でも、見えないからこそ、そこに長い年月をかけて人々が手を合わせてきたことを想像してしまいます。

本堂の右手には護摩堂。

左手には閻魔堂。

この閻魔堂の横を通り、本堂の左手奥へと進んでいくと、静かに佇む霊場がありました。

​ここはさらに一層、厳かで空気が張り詰めていて、不思議とカメラを向ける気持ちにはなれませんでした。

ただ静かに佇み、深く手を合わせて、祈りを捧げる。

写真には残せなかったからこそ、あの瞬間の肌で感じた静寂が、今も心に強く残っています。

その先には鐘楼堂もあります。

ひとつひとつの建物が、まるでこの霊山を守るように配置されていて、ここがどれほど大切に守り継がれてきた場所なのかを教えてくれているようでした。

「血の池」という名前に少し驚いて

境内を歩いていると、「血の池」と書かれた場所がありました。

名前だけ聞くと、ちょっとドキッとしますよね。

でも、実際にそこに立ってみると、怖いというより静かな場所。

名前から想像していたものとは違って、ひっそりと水をたたえていました。

こういう場所が境内の中に残っているところにも、岩船山が長く霊場として信仰されてきた歴史を感じます。

青空に映える三重塔

鐘楼堂の先へ進み、少し階段を上ると三重塔が見えてきました。

青空を背景にした三重塔は、とてもきれい。

寛延4年(1751年)に建立され、高さは19メートル。

木々の間からすっと立ち上がる姿を眺めていると、ここだけ時間の流れが少し違うような気がしました。

三重塔の周辺からは、本堂を囲むように歩いていくことができます。

せっかくなので、ワンコたちと一緒にゆっくり歩いてみました。

途中には、遠く越後の弥彦明神をお祀りするお社も。

こんな山の上で、遠く離れた土地とのつながりがあることが、なんだか不思議でした。

そのまま歩いていくと、ぐるりと一周して、また本堂のある境内へ戻ってきます。

たくさんのお地蔵さまが並ぶ賽の河原へ

次に向かったのは賽の河原。

本堂とは反対側にあるため、いったん境内を出て、改めて石段を上っていきます。

入り口で目に入ったのが、「賽の河原の積み石」と書かれた看板でした。

そこには、童子・童女の霊や水子の霊を供養するための積み石であること、石を積むことは功徳を積み重ねることにつながること、そして「なむあみだ仏」と書いた石をお地蔵さまの足元に置いて、幸福を願うことが記されていました。

その言葉を読んでから周りを見渡すと、たくさんのお地蔵さまの足元に、小さな石がいくつも積まれています。

訪れた人が、供養や願いを込めて一つずつ積んできた石。

小さな石が重なっているその姿を見ていると、そこに込められた祈りの深さが伝わってくるようでした。

私もそっと足元に小さな石を重ね、静かに手を合わせました。

そして、その先の階段を上り、西院の河原堂へ。

説明板によると、ここは俗に言う「賽の河原」のことで、地蔵が子供を救うという言い伝えから信仰が広まった場所だそうです。

「一重積んでは父を呼び、二重積んでは母恋し…」という地蔵和讃とともに伝えられてきたのだと知りました。

高勝寺は「日本三大地蔵尊」の一つとして知られ、子授け・子育て・安産の地蔵信仰でも知られているお寺です。

そして、現地にはペット供養の受付もありました。

愛犬たちと一緒に歩いてきた私には、ここでペット供養が行われていることも、なんだかとても心に残りました。

石段の先に広がる関東平野

賽の河原を後にして、もう少し歩いてみることにしました。

少し先へ進んでみると、広場のような場所がありました。

そこから下を眺めると、石段がずっと続いています。

「徒歩で来た人は、ここまで上ってくるんだ」

そう思うと、600段という数字が急に現実味を帯びてきました。

岩舟駅から徒歩で訪れる場合は、この石段を上って高勝寺へ向かうことになります。

そして、上りきった先で待っているのが、この広々とした景色。

この日は澄み切った青空の下、関東平野を一望することができました。

空が高い。

9月の終わりらしい、少しひんやりした風も気持ちいい。

しばらく景色を眺めていたくなる場所でした。

広場で見つけた、一輪の曼珠沙華

広場の片隅には赤い曼珠沙華がぽつり、ぽつり。

群生しているわけではなく、誰にも気づかれないような場所に数輪だけ。

真っ赤な花なのに、広い景色の中では不思議なくらい静か。

この日の岩船山で私が一番心に残ったのは、もしかしたらこの曼珠沙華だったかもしれません。

華やかな名所のように一面に咲く花ではなく、ひっそりと咲いていたからこそ、余計に目に留まったのだと思います。

「ここに咲いてたんだね」

そんな気持ちで、しばらく眺めていました。

お出かけ前のポイント

今回、車で山上まで行ってみて感じたのは、坂道は思っていたより傾斜があるということ。

距離そのものは長くありませんが、路面に凹凸もあるので、ゆっくり進んだ方が安心です。

境内は思っていた以上に敷地が広く、見どころをじっくり巡っていると自然とたくさん歩きます。

足元を気にせず境内散策を楽しむためにも、動きやすい服装と履き慣れた靴で訪れるのをお勧めします。

駅から徒歩で訪れる場合は約600段の石段を頑張って登るしかありません。

そして、9月末でも境内には蚊がたくさんいました。

この時期でも虫よけ対策はしていった方がよさそうです。

愛犬と一緒に歩く場合も、階段や足元の状態を見ながら、無理のないペースで。

おわりに

岩船山・高勝寺は、三重塔や仁王門などを見るだけではなく、実際にその場所を歩いてみることで感じるものが多いお寺でした。

​仁王門の威風堂々とした気配。

本堂の静けさ。

霊場に漂う、結界のような軽々しくは踏み込めない張り詰めた空気。

木々の間から見えた三重塔。

賽の河原に並ぶたくさんのお地蔵さま。

関東平野を一望する絶景。

そして、最後に見つけた一輪の曼珠沙華。

この日は、ずっとどこか光の中を歩いているような感覚がありました。

温かいような、でも時折吹き抜ける風には少し寂しさもあって。

その両方が混ざったような、不思議な時間でした。

「やっぱりここ、霊山なんだな」

そんなことを思った岩船山でした。

【参拝メモ】

​寺院名:岩船山高勝寺(岩船地蔵尊)

​所在地:栃木県栃木市岩舟町静1541

​電話番号:0282-55-2014

​最寄駅:JR両毛線「岩舟駅」(徒歩約15分/約600段の石段参道)

​拝観料:境内散策自由(無料)

​駐車場:あり(参道手前・山内に駐車場あり)

​見どころ:600段の石段/関東平野を一望できる景色/曼珠沙華(9月中旬〜下旬頃)/さいのかわらの積み石(童子・童女・水子霊の供養)

​立ち寄り:道の駅 みかも(車で約10分)

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