去勢手術を決めるまで
テンちゃんが去勢手術を受けることになったとき、私は本当に迷いました。
どちらかというと自然派な私は、「できることなら手術をせず、ありのままの姿で過ごさせてあげたい」という気持ちが強かったからです。
「本当に手術をする必要があるのかな?」
そんな問いを何度も自分に投げかけました。

犬の去勢手術には、病気の予防や望まない繁殖を防ぐといったメリットがあります。
その一方で、全身麻酔を伴う以上、心配がまったくなかったわけではありません。
最初からすんなり決断できたわけではなく、家族で何度も話し合い、獣医師の先生にも相談しました。
そして最後にたどり着いたのは、「テンちゃんがこれからどんな毎日を送るのが一番幸せだろう」という考えでした。
しっかり悩んで、しっかり向き合って出した答えだったからこそ、最後は納得して手術を受けることを決めることができました。
手術当日は落ち着かない一日でした
手術当日の朝は、なんだかいつもと違う気持ちで過ごしていました。
病院へ向かう車の中でも、テンちゃんは普段と変わらない様子です。
「頑張っておいでね」と何度も声をかけながら、病院へ預けました。
家に戻ると、ちょこまかと走り回るにぎやかなテンちゃんがいません。
すると、ムックもなんだか落ち着かない様子。
テンちゃんがいつもいる場所を気にしているように見えたり、私のところへ来てはまた周りを見回したり。
もちろん、本当のところムックが何を思っていたのかは分かりません。
でも、いつも一緒にいるテンちゃんがいないことを、ムックなりに感じているように見えました。
そんなムックの姿を見ていると、手術を受けるのはテンちゃんだけれど、この日はムックにとってもいつもとは違う一日だったんだろうな、と思いました。
そして私は、テンちゃんのことを考えながら、何度も時計を見ていました。
「大丈夫」そう自分に言い聞かせても、やっぱり落ち着きません。
無事に終わっただろうか。
ちゃんと麻酔から覚めただろうか。
気がつくと、そんなことばかり考えていました。
病院から「無事に終わりましたよ」と連絡をいただいたときは、胸のつかえがすっと下りるような気持ちになりました。
本当にホッとした瞬間でした。

迎えに行くと、テンちゃんは傷口を守るためのエリザベスカラーをつけていました。
普段は元気いっぱいなのに、この日は少しおとなしく見えます。
カラーも邪魔そうで、
「これ、いつまでつけるの?」
と言いたげな表情をしているようにも見えました。
そんな姿を見ると胸が締めつけられましたが、それでも小さな体で一生懸命頑張ってきたテンちゃんが愛おしくてたまりませんでした。
術後はいつも以上に様子を見守りました
帰宅してからは、傷口を舐めないよう見守る日々が始まりました。
エリザベスカラーはテンちゃんにとって不自由だったと思います。
でも、傷口を守り、きれいに治していくためには大切な役割があります。
少し可哀想に見えても、「早く良くなるためだからね」と声をかけながら過ごしていました。
ごはんはしっかり食べているか。
お水は飲めているか。
ぐっすり眠れているか。
トイレはいつも通りできているか。
傷口に変わった様子はないか。

普段なら気にしないようなことまで、一つひとつ確認していた気がします。
ワンちゃんは言葉で「ここが痛いよ」と伝えることができません。
一番近くにいる家族だからこそ気づける小さな変化もあるのだと、改めて感じました。
去勢手術を通して感じたこと
今回の体験を通して、私は「去勢手術をするのが正解」とも、「しない方がいい」とも思っていません。
体質も性格も、暮らしている環境も、その子によってみんな違うからです。
だからこそ、家族がその子のことを考え、獣医師の先生ともよく相談しながら決めていくことが大切なのだと思います。
私たちにとっても、テンちゃんのこれからを考えて出した答えでした。
術後しばらくはカラー生活が続きましたが、やがて少しずついつもの調子を取り戻していきます。
ムックを遊びに誘ったり、お庭を走ったり。
そんな当たり前の姿が戻ってくると、見ている私も少しずつ安心していきました。
そして、テンちゃんが戻ってきてからのムックも、いつものムックに戻っていきました。

やっぱり、いつものふたりが一緒にいる。
それだけで家の中の空気まで元に戻ったような気がしました。
手術をするかどうかを考えた時間も、手術当日の落ち着かない時間も、術後の見守りも、全部ひっくるめて、ワンこたちとの暮らしについて改めて考えるきっかけになった出来事でした。
これからもムックとテンちゃんが元気に、そしてムッテンらしく過ごしていけますように。
私も一日一日を大切に重ねていきたいと思います。



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